ここが聞きたい 一般質問
揖斐川町の財政について
林幹夫 議員
本町は自主財源が乏しい上に急激な人口減少と高齢化に伴う福祉対応、数多い町有施設の維持管理費や人件費などの義務費用の増加など多くの問題を抱えています。国・県の大きな政策転換の中身を的確に把握し対処するとともに、耐震化など急ぐ事業は別枠として財政の思い切った縮減で自主防衛を図らねばならないと判断します。町財政について数多く懸念を持っている中から次の4点について見解を伺います。
- 国・県の政策転換に伴う町への影響の把握と平成22年度の税収予測について、国は交付金を初めとして地方への財政支援の縮減、打切りの論議に加え、県も財源不足の対応策を示しています。町の平成22年度税収も減額となると思われ、予算にこれらの負の要因が波及することを懸念します。
- 実質の体力に見合った平成22年度財政の構想について、合併以来、町の年度毎の予算額は突出した額で経過し、交付金などの中身が変わると実質の合併特例支援額の目減りが懸念されます。町には負の課題が多く、突出した年度予算が組める状況にはないと思われます。
- 将来を見つめた基金の積み増しについて、平成20年度末で返済義務のある町債が271億円、これに対し基金は111億円となっています。合併の特例措置で交付金など割増があり、財源に多少の余裕のある間に計画的な基金の積み増しが望まれます。
- 職員数の今後の構想について、自治体の職員定数は人口の100分の1人が目安と言われ、町人口2万4970人、職員数が370人、1人当たり67人です。管理費用に占める人件費比率の節減が求められます。
宗宮町長
- 現時点で国及び県においてそれぞれ検討中であり、削減の内容の結論がまだ出ていません。このため町としても情報の収集に努めているところです。
- 町の主要財源である地方交付税は、合併特例法の期限である平成26年度以降、段階的に5年間で約10億円の減収が見込まれています。
このため、平成26年度を目標年度として財政規模120億円に向けて既に取り組みを進めています。
来年度予算の編成に当たっては、新たな歳出増は他の経費の削減で補い、メリハリのある予算配分とする方針で、物件費と補助金の10パーセント削減を目標に取り組んでいます。 - 町の平成20年度末地方債残高は約268億円ですが、交付税算入率の高い起債を活用することができたため、このうち約164億円が交付税として措置されています。一方、基金残高は111億円で、財政不足を補う財政調整基金は9億円です。今回の補正予算でもこの基金へ2億円の積み立てを計上しています。今後も経常経費の削減などを進め、基金を積み立てていきたいと考えています。
- 揖斐川町定員管理適正化計画、揖斐川町集中改革プランに基づき、平成17年度から5年間で国の示す純減率5.7パーセントを上回る9.35パーセント、39人、10年間で23.98パーセント、100人の削減を目標値として定員管理を行っています。
平成22年4月1日の純減数は59人となる見込みで、目標値を大きく上回る予定です。
総務部次長
平成22年度の町税の収入見込みについては、現在予算編成において精査中です。
防災センター兼揖斐川町庁舎の周辺整備について
宗宮哲哉 議員
町づくりの目標に「自然と歴史が育む ふれあいと活力のある健康文化都市」とあり、人と自然が共生する快適な町とあります。そこで、現在建設中の防災センター兼揖斐川町庁舎の周辺整備に、町の特産品でもある揖斐石の活用を考えます。揖斐石は、美濃加茂市の日本昭和村、高山市の平湯大滝公園、JR岐阜駅北口駅前広場で紫石、青石、虎石など石庭として多くの来訪者に親しまれています。新庁舎周辺整備についての所見を伺います。
宗宮町長
防災センター兼町庁舎の建築工事は平成22年8月を工期とし、9月に新庁舎へ移転します。
周辺整備は現庁舎の解体跡地と、取得した用地を含めた一体的な整備を考えています。土地利用計画は、渡辺岐阜大学名誉教授のアドバイスを受け計画し、非常時に広場として活用可能な駐車場を確保します。
今後、詳細な設計を行う中で、町自慢の揖斐石やさざれ石など特産品の活用を検討していきたいと思います。
住宅用火災警報器の設置について
宗宮哲哉 議員
住宅火災による死者の急増を踏まえて消防法が改正され、一般の住宅等に住宅用火災警報器を設置することが義務づけられました。
揖斐郡消防組合の火災予防条例では、新築住宅は平成18年6月1日から適用し、既存住宅は、経過措置により平成23年6月1日までの間これらの規定は適用しないとあります。
今後の一般家庭における住宅用火災警報器の設置、普及についての所見、悪質な訪問販売対策を伺います。
宗宮町長
最近の住宅火災による死者は、逃げ遅れが全体の62.2パーセントを占め、22時から翌朝6時までの睡眠時間帯における死者が44.9パーセントを占めています。逃げ遅れを防ぐことを目的に消防法が改正されました。消防法で設置が義務づけられているのは、煙を感知する住宅用火災警報器で、原則として寝室と寝室のある階の階段に必ず設置しなければならないことになっています。広報いびがわで設置義務化と悪質な訪問販売に注意を促す啓発を行っていますが、今後も音声告知放送などでPRに努め、福祉関係団体と協力して効果的な啓発活動を展開していきます。
総務部長
住宅用火災警報器については、平成17年から広報いびがわに3回掲載し周知に努めてきました。悪質な訪問販売対策として、地域ケア会議、介護保険や認知症の出前講座などのほか、民生児童委員や福祉委員、町職員が高齢者宅へ訪問する際に注意を促しています。
警報器の設置状況から、さらなる周知の必要がありますので、今後も行政推進員や福祉関係団体の協力を得て広くPRに努めます。
下水道事業について
小倉昌弘 議員
社団法人岐阜県浄化槽連合会の大会で、下水道事業が自治体の財政を圧迫しているという報告がありました。下水道は地震などの災害で1カ所でも壊れたらその地域の全部が使えなくなりますが、合併浄化槽ならそういうことはありません。今後の財政や災害のことを考えたら、今の下水道事業の計画は見直すべきではないでしょうか。
また、合併浄化槽を含めた下水道は何年後に全部が整備できると考えていますか。合併浄化槽の設置は工事費が安く、自分の土地の使用が制限されますので、その分使用料に反映させるべきではないでしょうか。
宗宮町長
近年の地震による下水道の被害は、マンホールの突き出しや管渠の破断が主なもので、合併浄化槽でも同様に排水管の破断が生じています。耐震構造の下水道処理場では長期の機能停止はなく、合併処理浄化槽では液状化による浮上が発生しています。町では、下水道施設に被害があったときは「下水道、公園等の都市施設に係る災害情報連絡要領」や「農業集落排水施設災害対策応援に関する協定」による応援体制ができています。このようなことから、住民の要望を踏まえ引き続き下水道整備を進めていきます。事業終了は、今後2地区を予定しており、処理場予定地に目途をつけていただいた後、6、7年はかかる予定です。また、平成18年度から始めた町設置方の合併処理浄化槽整備事業は、事業開始当初、10年間の整備として計画しています。
下水道工事も合併処理浄化槽も健康で快適な生活環境の確保、公共水域の水質保全を図る手段で、目的が同じである以上使用料に差を設けるべきではないと考えます。
学校給食について
小倉昌弘 議員
学校給食の献立表の中に地産地消を掲げながら、「揖斐川町の米」は毎月1回しか使われていません。献立表に揖斐川町の食材が毎日掲載されるように考えていただきたいと思います。すばらしい学校給食センターができたこともあり、子どもたちに揖斐川町のものを食べてもらおうとするなら、献立も見直していくべきではないでしょうか。
宗宮町長
平成20年度にはタマネギ、大根、ジャガイモなど地元農産物25品目を使用しました。これらの農産物は、町内の生産者11グループから献立に必要な量の作物を納入していただいています。また、今年度から新たな食材として、蒸し大豆やヨモギパンを提供しています。今後もより多くの農産物を提供していただけるようお願いしていきたいと考えています。米飯給食は週3・5回で、月に1回は町内産の米を使っています。地産地消の観点から、来年度からは町内産の米を使用するよう準備を進めています。
谷汲地区保育園の統合について
所登喜雄 議員
少子高齢化の中、谷汲保育園と長瀬保育園を統合し、まとまった施設の中で保育の増進を図っていくべきと思います。統合された谷汲小学校の隣には、保育園も統合することを想定して旧谷汲村時代から土地を用意してきました。旧谷汲小学校は県立揖斐特別支援学校として利用されていますが、これも手狭になると聞き、隣接する谷汲保育園舎を提供すれば最大の利用効果があると思います。また、特別支援学校に通学する生徒が増えることによって、通行難解消のため新小野坂トンネルの開設が大変必要になってきます。これらの見解を伺います。
宗宮町長
現在の園児数は谷汲保育園47人、長瀬保育園15人と年々減少しています。長瀬保育園は昭和59年竣工で、耐震も検討し建築されています。谷汲保育園は昭和51年竣工であるため耐震診断を実施したところ、耐震性能は構造耐震指数が「中位」に属し、「大地震に対し多少の被害が想定されるので補強が必要」との結果が出ています。統合については保護者や住民の皆さんの意見が最も大切であると考えています。
新小野坂トンネル(仮称)建設は重要な事業と位置づけています。事業影響の大きい揖斐川地区の皆さんにルートの説明と現地測量・設計着手をお願いしたところ、同意に至りませんでした。次回は、谷汲地区の委員も加わって意見交換したいという申し出もあり、町としては道づくり委員会の皆さんとともに、県に働きかけていきたいと考えています。
補助金について
所登喜雄 議員
揖斐川町観光連盟の下に旧町村ごとに6つの観光協会があり、それぞれ町から補助金が交付されています。事業の形態や観光誘致の状況等によって、補助金額に多少の格差が生ずるのはやむを得ませんが、非常にアンバランスな状況ですので、町長の見解をお聞きします。
また、特別養護老人ホーム「ハートヴィレッヂ谷汲の杜」は民営施設で、第三者が所有する土地で運営しています。開設にあたり旧谷汲村が土地使用料を支払っていました。合併して揖斐川町となっても続いています。
町長の考えをお聞きします。
宗宮町長
観光協会のうち法人の設立認可を受けた社団法人谷汲観光協会以外の5協会は任意の協会で、イベントの補助金のみを交付しています。谷汲観光協会へは、イベントの補助と運営費の補助を行っています。この運営費補助が議員指摘の大きな差になっているのではないかと思います。他の観光協会との不公平感をなくすために、谷汲観光協会の運営費補助金は見直すとともに、自活に向けた組織運営の検討をお願いしていきたいと考えています。
特別養護老人ホーム「ハートヴィレッヂ谷汲の杜」の敷地については、土地所有者が旧谷汲村に賃貸することを希望したため、村が平成12年に土地賃貸契約を結びました。また、村は事業者と無償での土地使用貸借契約を行い、現在もこれらの契約が継続しています。
今後は、土地所有者と事業者が直接賃貸契約を結ぶか、購入するという方向への転換を進めたいと考えています。