令和4年3月10日に行われた、本定例会の一般質問および答弁の要旨は次のとおりです。
来年10月からインボイス制度が始まります。インボイスとは適格請求書のことで、この制度では、消費税の課税事業者になり、請求書に登録番号の記載や適用税率などの記載が求められ、さらに複雑な帳簿を付け7年間保存しなければならなくなります。
日本の消費税法では、年間の売上げが1000万円以下ですと免税業者になれますが、免税業者のままだと課税業者が消費税の仕入額控除を行うために必要な適格請求書等の発行ができず、仕入額控除を行いたい発注業者や元請からの仕事を請けられなくなります。
全国の多くの税金の専門家や団体などからもインボイス制度の反対や延期の声が上がっています。町長も町民を守る立場から、インボイス制度の反対を表明してもらえませんか。
身近なところでは、シルバー人材センターの会員さん、農家さんや猟師さんなどがこの制度に対応しなければならない可能性がありますが、中には複雑な制度への対応ができず仕事をやめてしまう方も出てくるのではないでしょうか。
このようなインボイス制度について、町長の考えをお伺いします。
インボイス制度は、2019年の軽減税率の導入により、消費税という一つの税金の中に、複数の税率が存在することになったことが要因となり、納税額を計算しやすくしたり、事務処理を効率化することが目的であると伺っています。また、事業者が消費税の仕入額控除を適正に計算するためにも必要な制度であると認識しています。
町としても、この制度の導入にあたり事業者への制度の周知や対応が必要と考え、商工会や税務署と連携しながら既に説明会を実施し、今後も町内事業者への制度周知等、必要な対応を関係機関と連携しながら制度のスムーズな導入に努めます。
議員ご指摘のシルバー人材センターについては、会員さんが課税業者の登録を行うか、シルバー人材センター側が会員に支払った消費税と同額を納付するかの選択になります。それについていろいろな意見等が出されていることも承知しており、今後の国の対応を注視したいと考えています。
なお、インボイス制度の円滑な導入のため、制度実施から3年間は免税業者からの仕入れについて80%を、その後の3年間については50%の仕入額控除が可能であり、また、免税業者から課税業者になっても簡易課税制度を選択することで、簡易な計算で仕入税額控除を行うことができます。
インボイス制度は国の進める制度ですので、町としては意見を述べる立場にはないですが、町民の皆さんが支払われた消費税ができるだけ正確に納付されるよう、また事業者の皆さんにできるだけ負担をかけないよう、制度の理解と周知を図りたいと考えています。
島地区から揖斐厚生病院に向けて都市計画道路が整備されてきていますが、ここから先の役場南からイビデン前を通る道路は、今後大野神戸インターと揖斐の山間部を結ぶ揖斐川町の大動脈となりえる道路です。
この道路の役割は、移住定住、企業誘致、中でも将来極めて重要になってくると予想されるのが、切り出した木材の輸送道としての役割です。
近年まで木材相場は外材に押され大きく値崩れしていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で物流が大きく変わり、国内産の木材の価格も高くなってきました。
揖斐川町の総面積のほとんどが森林であり、木材の資源が豊富にあることからも長期的な視点に立って、今からでも木材輸送用のトレーラーが通行できるよう道路整備を進めていくことが大切だと思いますが、町長の考えをお伺いします。
揖斐川町の道路交通に大きく影響してくる東海環状自動車道の大野神戸インターは令和元年に開通し、国道417号冠山峠道路は、令和5年内の開通見通しとなっています。この国道417号から都市計画道路大野揖斐川線へのルートは、今後揖斐川町の大動脈になってくる路線です。
現在、大野揖斐川線の福島から三輪については、県が着実に工事を進めておられますが、町としては揖斐厚生病院から西への延伸についてもその必要性を認識しており、県に対し事業化を要望しているところです。
議員ご指摘の国道417号から西、役場南からイビデン前を通る町道については、一部線形の悪いところもありますが、現状で2車線の道路は確保されている状況です。
しかし、まずは国道417号から東の都市計画道路大野揖斐川線が完成しなければ国道303号のバイパスとしての効果が発揮されませんので、まずは国道417号より東の早期開通に向けて要望をしていきます。その道路が開通すれば議員お話の木材運搬などにも十分な輸送ルートになると思っています。
住民の皆さんに防災への興味を持ってもらうことは難しく、防災イベントを開催しても新たに参加してもらえないのが現状です。しかし、防災啓発活動は継続して行う必要があります。
その中で、防災士資格取得講習会は防災への入り口、初めの一歩であると思います。町では一昨年まで町内で講習会が開かれ、多くの防災士が誕生しました。
現在は、岐阜県主催の取得講習会が開催されていますが、開催場所が岐阜大学で、受講に3~4日要することから、講習は受けてみたいが通うのは厳しいとの声も聞こえてきており、町内での開催は防災啓発に一役買うのではと思いますが、いかがでしょう。
また、防災へ興味を持ってもらうためには、若者へのアプローチが必要です。既に県内の小中学校では、さまざまな取り組みがされていることから、町内の小中学校においても防災の取り組みを行ってはいかがでしょう。
新学習指導要領には防災についても書かれており、その中には「地域における人々の防災の取り組みに対する理解を深める人」を育てるともありますが、学校職員だけでは負担が大きくなってしまうことから、地域にいる防災士や防災士連絡協議会、ひいては地域住民と協力することが非常に大切だと考えます。
そのためにも、地域の防災士、防災リーダーを増やし、お互いに手を取り合って災害に強い町を目指したいと考えますが、町長のお考えをお聞かせください。
揖斐川町には防災関係のボランティアとして、消防団OBによる防災ボランティア、日赤奉仕団をはじめさまざまなボランティア組織があり、それぞれ独自の活動をされ、防災訓練への参加をはじめ日常的にさまざまな活動をされています。町としては、有事または平時にそれぞれの団体の活動範囲の中で、ご協力いただき、それぞれの役割を果たしていただければと考えています。
そうした中で、新しい防災ボランティアの一形態として自主自律の発想を持った民間ボランティアである防災士という形が出てきたことから、防災士あるいはその団体の立ち上げ支援として過去には町による講座開設を行い、現在でも資格取得のための受講料や申請料、テキスト代の全額補助を行い、こうした支援の結果、一定数の防災士が誕生し、町レベルの組織も出来上がりました。
町としては、さまざまな防災ボランティア団体への一定の支援は今後も続けるつもりですが、特定の団体のみ手厚い支援を続けることは公平性の観点からも避けるべきと考えます。防災士の皆さんには、その理念に基づく自主的自発的な活動で、町の防災にご協力いただければと思います。
また、学校等での防災の取り組みですが、既に学校ではさまざまな方の協力を得て、防災に関する教育、取り組みを行っております。今後は、地域と学校が防災に限らずさまざまな形で一層の連携が図れればと考えています。
今年度、町では小学校3年生から中学校3年生までの児童生徒に、揖斐川町防災ハザードマップのパンフレット版を配付し、防災教育の強化を図りました。
各学校では、町における局地的豪雨や大地震による土砂災害の危険性を鑑み、全ての学校が年3回以上実施している避難訓練ではより実践的な訓練となるよう、放送機器が使用できない場面や通常の避難経路が使えない場合などを想定した訓練を行っています。また、町内全ての小中学生が給食で防災食を食べ、実際の避難時における食事体験もしています。
他にも越美山系砂防事務所や大学から専門家を講師として招き、土砂災害が発生するメカニズムや砂防ダムの仕組みを学んだり、DIG(災害図上訓練)などを実施している学校もあります。
防災教育は、他の専門機関との連携によりさらに充実したものになりますので、今後もさまざまな専門家の方々の協力を得ながら、児童生徒の避難行動スキル、防災意識の向上を図ります。
まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、スポーツ活動の推進として「ノルディックウォークをはじめ誰もが気軽にスポーツに参加できる事業の展開、新しい生活様式に適応したオンラインによるスポーツ企画の提供、いびがわマラソンなど地域住民が一体となって実施するスポーツイベントを推進し町の活性化を図る。」とあります。
コロナの状況によっては大きなイベントの開催は難しいかもしれませんが、オンラインで自宅でもできる体操指導、三密を回避しながらのランニングやウォーキングなど少人数でのイベントの開催は可能ではないかと考えます。
町のスポーツ推進委員会でもノルディックウォークの普及活動に力を入れていると聞いており、来年度は少人数で行う講習会を企画されているそうです。
これらは、Withコロナ時代を見据えた企画だと思いますし、ひいては健康づくりをはじめるきっかけにもなると思いますので、健康づくり企画をぜひ推奨していただけたらと思いますが、町長の考えをお伺いします。
コロナ禍だからといって自粛や中止ばかりではいけませんので、コロナ対策を万全にしながら、健康広場をはじめ体育館など町の施設でも、各種団体においてもさまざまスポーツ活動をされていますし、いびがわマラソンにおいても来年度は何とかハーフを中心にリアルの大会ができないか準備を進めているところです。
ノルディックウォークに限らず、さまざまな形でのスポーツ推進や健康づくりは町としての基本的な目標でありますので、総合計画のスローガンでもある「自然健幸のまちいびがわ」を目指して今後とも努めていきます。
コロナ禍によりスポーツ活動の推進においても、今までのような「大勢が一斉にスポーツを楽しむ」という形態から、個人がスポーツを長く続けるための支援策が必要となっています。
このため、インターネットを活用し個人がどこでも気軽に参加できるスポーツ支援策をいくつか実施しています。
たとえば、今年度のいびがわマラソンは、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリアル大会を中止し、各自がGPS機能を使い、距離や走行時間を計測して競い合うオンライン形式で実施しました。ほかにも個人のスポーツ習慣の定着を図るため、町スポーツ推進委員の皆さんが中心となり各地区でウォーキングの推奨コースを設定したり、ノルディックウォークを気軽に始められるよう、独自の指導用ガイドブックの作成を進めています。
また、町スポーツ推進委員会では、来年度小規模なノルディックウォーク体験会や研修会を定期的に開催するほか、住民福祉部とも連携し普及事業を計画されると伺っています。
Withコロナの状況にあっても、スポーツ推進と健康づくりのため、状況に応じ事業内容を見直し、住民の皆さんの健康づくりを支援できるよう、できることから進めていきます。
揖斐川町の面積の92%は森林で占められています。森林は、生物多様性、地球環境保全機能、土砂災害防止機能、水源かん養機能等さまざまな役割を担っています。
このような森林を適切に管理するには、森林整備や治山工事が必要で、森林に行くまでの県道や町道などの公道や林道が必要になります。
これらの道路は、森林整備に伴う大型トラックでの木材輸送、土木工事のための重機の搬送やダンプトラックの走行に必要な施設です。一方で、林道等は森林整備だけでなく、登山やキャンプ、ドライブといった観光面、他地区への移動のための生活道路的要素、また災害などの緊急時の利用の面でも大きな役割を担っています。
道路の開設から20年~30年が経過すると、法面より上部の木々が成長し、風雨や雪の影響を受けやすくなり、根こそぎ木が倒れることで法面が崩落したり、木が大きく成長し幅員が狭くなり大型車両の通行が困難になることもあります。
このように、山間部の公道や林道は、計画的な災害防止措置が必要になると思いますが、維持管理の予算、優先順位等について、町長の考えをお伺いします。
公道、林道の維持管理については、それぞれの道路管理者において、除草や修繕などを行い、車両通行の確保を行っています。また、道路法面上部の立木の除去については、明らかに倒木の恐れがあり通行に危険なものを除き、土地所有者にお願いするなど、今後も道路の管理界をもって維持管理をしていきたいと考えています。
町としても管理する全ての林道を適正に管理すべきとは考えますが、多くの予算も要することから、森林施業に利用される林道を優先し、利用頻度や目的などを考慮し維持管理をしたいと考えています。また、公道においても、随時パトロールを実施し、異常箇所の発見に努め対応しています。
計画的な災害防止対策については、近年の異常気象や局地的豪雨により、災害発生の予測が難しく、計画的な対策は困難ですが、災害が発生した場合は、災害復旧事業を活用し、早期復旧に努めたいと考えています。
国内で新型コロナウイルスの感染が拡大してから2年が経ちますが、いまだ終息の兆しがなく、県内でも連日多くの感染者が確認されています。またコロナ禍に加え、度重なる大雪で多くの飲食店やサービス業の方は苦境を強いられ営業判断に苦慮されていることと思われます。
この2年間いびがわマラソンはオンライン開催、谷汲地区では桜まつりや紅葉まつり等が見送られ、一度に集客するイベントは開催しにくい状況が続いています。
そのような中、2015年に日本遺産に登録された「信長公のおもてなしが息づく城下町・岐阜」は、計画に沿った取り組みに対し評価が低かったことから登録抹消の候補に挙げられましたが、揖斐川町においても、2019年に登録された「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼」が、この2年間コロナ禍により活動自粛を余儀なくされ、計画した取り組みを行えなかったことが懸念されます。
コロナ禍で人と人との交流が減少または制限され、観光地への誘客が厳しい状況下では、各協議会などと連携していくことはもちろん大切ですが、コロナ禍においてできる活動を地域住民の皆さんとも知恵を出し合い協力していくことも大切であると思います。
2年後に冠山峠道路が開通し、また東海環状自動車道の開通も控えた中、コロナ終息を見据えた観光振興について日本遺産も含めた取り組みをお伺いします。
観光振興には、入込客数を増やすための積極的な観光PR活動が重要であると考えており、コロナが終息を迎えたときに後れを取らないよう、現在準備を進めているところです。
いまだコロナは終息していませんが、今年度は感染状況が収まっている時期に合わせ、谷汲観光駐車場利用クーポン発行事業を実施し、日本遺産への誘客を促進したほか、感染防止対策店舗等改装支援事業を実施し、観光客等が安心して町内の店舗等を利用できる体制を整えてきました。また、3月下旬からは揖斐川町観光協会と連携し、日本遺産PR事業として谷汲山華厳寺境内において「竹のぬくもりイルミネーション」を実施する予定です。
町内には豊かな自然や歴史、伝統文化などさまざまな観光資源がありますが、中でも日本遺産である谷汲山華厳寺は主要な観光スポットであり、日本遺産というネームバリューを活かしながら地域活性化に結び付けていくことは大変重要であると考えています。
また、町内ではワンダーピクニックやクラシックカーミーティングの開催、にしみのライナーと連携した谷汲地域へのツアーの造成、谷汲山参道と赤鬼を活用した謎解きイベントの開催など、地域主導でのイベントが開催されており、このような取り組みが地域の魅力を高め、活性化につながるものと考えています。
冠山峠道路の令和5年内の開通を見据え、日本遺産はもちろんのこと、町内の観光客数の増加を図るため、コロナの感染状況を見極めながらSNS等を積極的に活用したPRの実施のほか、来年度は旅行会社へのツアー補助金も計画しているところです。
今後も関係団体と連携し、地域主体のイベントの開催や地域活性化の取り組みを支援していきたいと考えています。
町の文化財については、国指定10件、県指定44件、町指定262件で、ほかにも谷汲山華厳寺の「西国三十三所観音巡礼」の日本遺産登録、夜叉ヶ池伝説などがあり、活躍された先人も数多くみえます。さらに町には、お茶、簗掛け技術、薬草文化などが現在も日々の生活の中に息づいています。
こうした地域文化を地域振興や観光振興につなげていくことが町の一つの戦略になると考えています。
そのためには、保存・継承として、文化財などの基礎的な情報を把握・整理し、記録本の出版、企画展やツアーなどにより多くの町民に知ってもらい、地域の宝として後世に残したいという気運を高めていくことが必要です。また、情報技術などによる観光振興、特産品の開発、生活スタイルを活かした移住定住対策、子どもたちの郷土愛を育む教育などへの「地域文化の活用」が大切ですし、それらを持続的なものにする体制の構築も重要であると考えます。
そこで、今後どのように、地域文化をまちづくりに活用していくか、具体的な方策をお伺いします。
町では総合計画の方針に基づき、例えば文化協会への助成を通じて、アートいびがわ、メサイヤ、芸能発表、作品展示等の事業展開をはじめ、町や有志の団体もさまざまな企画を通じ文化活動を展開し、コロナ禍にあっても工夫を凝らし、文化の振興に努めているところです。
具体的施策として総合計画に示されている地域文化の保存、継承についても、合併以来旧町村の文化財の統一的な把握が全くされていなかったことから、昨年から図録の製作を進めたところであり、子供歌舞伎をはじめ各地区に伝わる伝統芸能についても保存会、揖斐歌舞伎塾への助成などを通じ後継者の育成や保存、継承に努めています。また、学校においても地域連携の中でさまざま地域の文化に触れる授業、活動を行ってもらっています。
自然文化の代表的なものとして総合計画にも「揖斐すめらぎの森」の活用がありますが、地域振興、観光振興として指定管理者と連携し活用を図っています。さらに、谷汲山華厳寺等においても、地元観光業者の皆さんにより名古屋と大野町の道の駅を結ぶ高速バス「にしみのライナー」の利用者を谷汲山へ誘客する取り組みや、日本遺産谷汲山のPRのため地元NPOや岐阜大学の学生と協力して「鬼ドキ謎ときウキウキウォーク」を実施するなど新たな取り組みも展開しているところです。
取り組みのごく一部を紹介しましたが、今後とも積極的に展開していきます。
子どもたちを取り巻く環境は、学校や家庭など日々の生活の中で抱える困難や、コロナ禍で益々深刻化する孤立や孤独など厳しいものもあります。
そのような中で、子どもの居場所については、単なる退避空間としての場所だけではなく、やりたいことを見つけ、将来のことを見つめる機会として期待されています。
町では、学童保育や子育て支援センターでの活動、夏休みには地区公民館で学習支援の教室などが開催され、新年度には校区内の町有施設で中学生の希望者を対象に学習支援を開催するための予算が計上されています。
また、池田町には各地区に児童館が設置されており、さらに大野町、池田町では、民間団体により補助金などを活用して、子どもの居場所とあわせて学習・生活支援や相談が実施されています。
子どもたちが日々の生活の中で抱えている課題に対応するためには、子どもたちが自由に選択できる多様な活動や居場所づくり、そして行政、関係機関、関係者、地域などが重層的に関われる環境をつくり、子どもたち一人ひとりに必要に応じた多様な支援を行うことが重要だと考えますが、町として、今後子どもの居場所づくりと多様な支援をどう進めていくのか、お伺いします。
また、既存の子育て世代包括支援センターと地域福祉ネットワークを活用して「子ども版の地域包括ケアシステム」を構築してはと思いますが、いかがでしょうか。
全国的に食事や学習、遊びの場などを提供する子どもの居場所づくりが、地域の自発的な取り組みとして多様な形で広がっています。
町においては、特に子どもの居場所づくりとは謳っていませんが、例えば学童保育などがこれに相当するものと考え、従来より学童保育の推進、充実に努めており、近年利用者も大変増えている状況です。
大野町では子ども食堂のような取り組みもあると聞いておりますが、学習支援の無料塾については、令和4年度より「地域学び塾」として事業実施させていただく予定です。
また、コロナ禍にあって密を避ける意味も含め、プレイパークなどの屋外での遊び場づくり、子どもの居場所づくりも盛んになっており、町においても複数の地区から小規模でいいので遊具を設置した子どもの遊び場を設けてほしいとの要望もあり、こうしたミニ児童公園的なものも子どもの居場所づくりの有効な手立てであると考え、今後検討していく必要があると考えています。
今後とも、町はもとより地域や住民の皆さんの自発的な取り組みも含め、公民館や学校といった公的な場所から、店舗や個人住宅、寺社、空き家、空き店舗など場所にこだわらず多様な取り組みがなされるよう努めていきたいと思います。
地域包括支援システムとは、高齢者の場合、要介護状態となっても住み慣れた家で生活上の安心、安全、健康を確保するため、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域での体制です。
子ども版の地域包括ケアシステムについては、高齢者の地域包括支援システムに子ども子育て支援ケアの視点を入れることにより、孤立育児の防止や子育て支援機関強化を目指すものと理解しています。
現在も町では、子育て世帯や子どもが抱えるさまざまな困難や課題について、子育て支援センターを中心に、保健センター、地域包括支援センターや小中学校等と横断的に情報共有を行いながら相談業務や育児支援を実施しています。また、地域での見守りや緊急時には、県の子ども相談センターと連携して対応しています。
地域包括ケアシステムは、自助、互助、共助、公助の組み合わせが重要であると考えています。公助については、今後も庁内各部署が一体となって対応し、関係機関との情報共有を図っていきたいと思います。
マイナンバー制度は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤であると認識しています。
マイナンバーカードは平成26年1月から発行が始まり、令和4年2月時点の交付状況は、全国で41.8%、岐阜県で39.4%ですが、揖斐川町は32.0%と岐阜県下で最下位の交付状況となっています。
国は、マイナンバーカードの普及促進のため、カードの取得、健康保険証としての利用、公金受取口座とのひも付けの条件に応じて最大で2万円相当のポイントが付与される第2弾のマイナポイント事業を始めました。
また、先日発表された岐阜県の令和4年度一般会計予算案では、「アフターコロナ時代の新たな社会・経済を創るため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、県民への行政サービスの向上、県内事業の生産性向上を図る」とあります。マイナンバーカードの取得は、県の推進するDXとも深く関わっていくことと思います。
そこで、町長に2点お伺いします。
(1)国も県も力を入れているマイナンバーカードを、町として今後どのように進め、周知していきますか。
(2)取得するのが面倒だと感じる高齢者の方々には支援が必要だと思いますが、どのようにお考えですか。
マイナンバーカードについては、議会の中でもさまざまなご意見がありますが、町としては当然に促進していきたいと思っています。そうした中で、カードを持っていないことで町民の皆さんに不利益が生じないように努めていかなければならないと考えています。
ご質問の一点目ですが、マイナンバーカードの申請・交付・更新窓口の夜間・休日開設サービスを引き続き実施するとともに、町民の皆さんの要望に応じ、説明会や町独自の普及促進対策についても検討したいと考えています。また、マイナンバーカードによるオンライン申請サービスの内容を拡充し、各種手続きの利便性の向上を図ることでも、カードの普及促進に努めたいと考えています。
二点目については、申請時に役場か振興事務所へ一度来庁するだけで、写真撮影を含む申請手続きが完了する端末を導入しており、更に職員のサポートにより手続きの負担軽減を図るなど、カードを取得しやすい環境整備と支援に取り組んでいます。
町としては、国が目指す「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現のため、安心・安全で利便性の高いデジタル社会のツールとなるマイナンバーカードの普及に今後も努めていきます。
昨年4月よりマイナンバーカードの申請手続きのため、予約制にて夜間・休日窓口を開設しています。平日は19時30分まで、土日祝日は8時30分から17時30分までのご希望の時間で対応しています。
また、8月からは高齢者をはじめ、申請手続きの煩わしさでお困りの方の負担軽減のため、必要書類を持参いただければ、申請手続きを一度に完了させられる申請補助サービス端末を役場と各振興事務所へ配備し、カードを取得しやすい環境を整えています。
当町のマイナンバーカード交付率については、令和4年2月現在で32.0%ですが、前年同月は16.1%であり、徐々に上昇してきています。
今後も引き続き、マイナポイントの付与、新型コロナワクチン接種証明書の取得、各種証明書のオンライン申請など、マイナンバーカードの利活用について周知徹底を図るとともに、交付率向上にむけて各自治会への説明会など、カード取得促進に効果的な施策を検討し取り組んでいきたいと考えています。
ふるさと納税は、国民が好きな自治体を選んで寄附ができる制度で、過疎などにより税収が減少している地域と都市部との地域間格差を是正することを目的としてスタートしました。制度利用者は、寄附のお礼として自治体から返礼品がもらえるということで、利用者数は年々増加しています。
揖斐川町への寄附金額は、約4,900万円ですが、他の自治体へふるさと納税される町民もいることから、その収支は約700万円です。今後も他の自治体へ寄附をする町民が増えることを考えると、町への寄附額を増やすという命題は待ったなしです。
池田町では、ふるさと納税対策係を設け、情報発信に力を入れ、また「池田すぐれもの」など町認定の返礼品を商工会や事業者とともに作り出しており、揖斐川町の約8倍の寄附額を得ていますが、揖斐川町の取り組みは、担当者が一人で、返礼品の開発などは行っておらず、まだまだ行政の本気度が見えてきません。
そこで、3点お伺いします。
(1)ふるさと納税は財源を確保する大きなチャンスなので、人数をかけ、部署を越えて行政が一丸となって取り組むべきではありませんか。また、事業者と行政、町民が一緒に返礼品を開発すべく、新しい組織、システムを作ることはできませんか。
(2)一過性の商品だけでなく、体験やサービスなどの返礼品を考えられないでしょうか。
(3)ふるさと納税により揖斐川町を知ってもらうためにもPRの工夫が必要だと思いますが、いかがでしょう。
一点目の町の体制ですが、町のふるさと納税については、寄附件数、寄附金額とも年々増加していますが、他市町村と比べるとまだまだ少ないと考えており、寄附金を増やすには、PRと返礼品の充実が不可欠であると考えています。
現在新たに5事業者が登録手続き中ですし、特産品開発についても独自に、また事業者と協力しながら進めたいと考えています。
担当部署については、これまでも、担当する政策広報課のみならず、商工観光課や農林振興課等と連携し情報共有しながら事業者や返礼品の登録等を行ってきましたので、引き続き部局横断的な体制で返礼品の充実、ふるさと納税の促進に努めます。
二点目については、すでにマラソンやゴルフ、そば打ち体験などが登録されており、現在、農業体験も登録手続き中です。また、議員お話の空き家の管理やお墓の掃除などのサービスについても、協力事業者の掘り起こしと併せ検討します。
三点目のPRについては、現在、ふるなびや楽天などの人気サイトを活用しており、今年度からは無料で活用できる専門雑誌への掲載など、費用をかけずPRできる媒体も積極的に活用しています。
ふるさと納税制度は、自主財源の確保に留まらず、地域産業の活性化や関係人口の拡大などにもつながりますので、国の基準を遵守しつつ取り組んでいきます。また、「企業版ふるさと納税」についても、積極的に推進できるよう努めます。
かねてから当町の消防団体制については見直しをすべきとの声が多くありましたが、ようやく定数の削減、操法大会の中止、団員報酬の改善がされる運びとなり、ここに至るまでの関係者の皆さんのご尽力・ご理解に感謝いたします。
しかし、消防団員の定数は人口の1%を根拠としている自治体もあり、当町の削減後の定数600人は、定数160人の池田町、大野町などと比べて、まだ多すぎるように思います。
そこで、2点質問をします。
(1)昨年12月議会の町長の答弁にて、消防車両数の見直しに伴う第2弾の定数削減を検討されるとの発言がありました。一部の地域からは消防車庫統合の話も聞こえてきますが、車庫や分団の統合による車両数の見直し、それに伴う団員数の見直しについては、いつ頃、またいつまでに検討されますか。
(2)揖斐川地区への消防分署の新設は、更なる消防団員削減に伴う消防力の落ち込みをカバーし、揖斐厚生病院移転後の救急体制のカバーも図れると思いますが、いかがでしょう。また、分署を新設する場合の経費について、どうお考えですか。
消防団改革は私の公約の一つであり、合併以来の長年の懸案事項でしたが、ようやく令和4年度から実現できました。
その中で、一点目の団員の更なる削減ですが、各地区から消防車庫や車両の見直し、分団の統廃合の要望もありますので、消防団、関係機関、地域住民の皆さんと協議を進めていく中で、車庫や車両の削減に付随して更なる団員の削減もあり得るということで、初めから第2弾の削減ありきの話ではありません。
地域事情も考え、期限を定めるのではなく、慎重に地域の皆さんのコンセンサスが得られるよう取り組んでいきます。
二点目の消防分署についてですが、まず、経費については、概算の設計費で建築費が約5億円超、維持管理費が年間7,000万円前後見込まれます。さらに、用地選定等の課題もあります。
また、分署に配置される人数は、基本的に3~4名ですので、その人数での消火活動、災害時の避難誘導、救援活動についての効果は限定的であることから、分署を必要とする大きな要因は、救急体制、救急車の到達時間だろうと思われます。しかし、救急車の到達時間を全町的に見ると、山間部では現状15分以上かかっている地域もあり、人口の多い揖斐川地区だけ到達時間を短縮させるために分署を新設するということは、地域間の公平性、バランス、費用対効果を鑑みたときに非常に難しい問題であり、今後も引き続き検討しなければならないものと考えています。
現在、都市計画道路大野揖斐川線は、第1期計画の第1段階として、揖斐厚生病院北側から三栄自動車南辺りまで暫定的に供用が開始されており、第2段階として、長良地区から大野町との境までの工事が進められています。
都市計画道路は、町の発展・活性化に向けた重要なインフラであり、少しでも早く実現すべきものです。
そこで、3点お伺いします。
(1)第1期計画の進捗状況、特に福島~長良間の進捗状況や上ミ野地区や白石川架橋部分の工期等について説明願います。
(2)揖斐厚生病院北側から国道417号までの第2期計画については早期事業化が望まれますが、今後の見通しと当該工事に伴う迂回路としての町道拡幅工事の内容について説明願います。
(3)大野揖斐川線の両町境地点から大野町旧有楽苑までの区間では工事の気配が全く感じられません。大野町内での事業ですが、早期事業化に向け、町からも県に対し強く要望すべきかと思いますが、町長の考えをお伺いします。
一点目の第1期計画の進捗状況ですが、福島から三輪の区間において、優先順位を決め、効果の高いところから順次県により工事が進められています。
第1期工事は、揖斐厚生病院までの導線確保のため、三栄自動車南から揖斐厚生病院北側までを三輪工区として既に供用を開始しています。
また第2期工事は、大野神戸インターへのアクセス道路確保のため、県道本庄揖斐川線の付け替え道路となる福島~長良工区として平成25年に事業着手し、全区間に渡り工事が行われています。現在は、用地問題も解決し、県においても重点的かつ全力で取り組まれており、早期開通を期待するところです。
残区間となる白石川の前後については、県の財政状況、県内の優先順位、事業効果、連続性、迷い交通車両による周辺地域への影響などを総合的に判断しながら着手時期を検討されると聞いています。
二点目の第2期計画は、揖斐厚生病院前の交差点から西へ延伸する国道417号までの区間で、まだ事業化されていませんが、今後もあらゆる機会を通じて県に強く要望したいと考えています。
揖斐厚生病院北側から国道417号までは用地確保ができておらず、行き止まりとなることから、迂回路として、揖斐厚生病院北側交差点から南下した新籠橋までの区間を2車線へ改良し、岡島橋まで2車線を確保することで、道路ネットワークを構築したいと考えており、来年度より測量設計の実施を検討しています。
三点目については、大野町の事業に関することであり、町としての答弁は差し控えますが、当然大野町として鋭意努力されているものと思います。
全国的な問題となっている人口減少問題ですが、揖斐川町では令和2年の国勢調査で前回の平成27年より1974人減少しており、深刻さがうかがえます。
人口減少問題には、人口流出と移住定住の2つの観点があります。
そこで移住定住について、県内4市取り組みについて視察等を行いましたが、令和2年の県外からの移住者が、関市78件、郡上市97件、高山市264件、人口や面積など揖斐川町と環境が似ている飛騨市は86件で、揖斐川町の2件という数字と比べると差は歴然です。
それぞれ自治体により政策の違いや周辺環境、他の施策との優先順位などさまざまな問題がありますが、圧倒的な差を感じるのが発信力です。
揖斐川町には他の自治体にはないような子育てや移住のための魅力的な支援策が数多くありますが、移住するまで知らなかったという方がほとんどです。これではせっかくの施策も、移住定住希望者に届かない大変もったいないものとなってしまいます。
移住定住問題を例に挙げましたが、それに限らず、広く、多くの方に揖斐川町の情報を知ってもらうため、ホームページ等の更新頻度や時事情報の掲載、SNSを活用し日々更新される自治体情報の発信など、行政としてもっと情報発信に注力することはできませんか。
町に求められている広報の役割として、一つは行政の施策や社会生活に必要な情報、災害情報などさまざまな情報を住民の皆さんに分かりやすく確実に伝えることが大事であり、これらの情報発信が行政サービスの周知、利用促進、必要な手続きや行動を促すきっかけになると思います。
二つ目の役割としては、町外の方に対し揖斐川町の魅力を伝えることで、移住定住や観光振興などさまざまな分野で活性化につながると思っています。
そうした中、町としては広報紙、ホームページ、音声告知放送、いびがわチャンネルなどを通じて必要な情報を迅速に正しく発信することに努めています。
また最近は、LINEやインスタグラム等のSNSを利用し情報発信していますが、登録者数も少なく、発信頻度も多くないのが現状です。SNSは広範囲かつリアルタイムな情報発信が可能なので、今後も積極的に活用していきたいと考えています。
また、町では令和5年度完成予定の防災行政無線の整備にあわせ、自宅にいなくても町の発信する情報を文字や音声で確認できるスマートフォン用の防災アプリの導入も進めています。今後とも効果的な媒体を用いた情報発信に努めていきます。
さらに、都市部の方に興味を持ってもらえる情報を発信しなければいけないので、都市部の方にアピールできるような魅力づくりもあわせて進めていくことが大切だと考えています。
2016年頃から全国的にも関係人口という考え方が広く用いられるようになりました。
これまでは、町と関わる人材を「移住・定住」と「交流・観光」の2種類の考え方で捉え、施策等が実施されてきましたが、今、私たちが直面している人口減少社会での担い手不足やつながり、伝統文化の維持など、過疎の山村地域としての課題解決の方法として、この2種類の考え方だけでは難しいと思います。
揖斐川町に住んでいなくても町のために関わってくれる人材、進学や就職で町を離れても定期的に町の活動に関わってくれる人材、以前訪れたときに町や人に興味を持ってくれた人たち、さまざまな関係性が考えられますが、町外から揖斐川町の力になってくれる人材である関係人口を増やす取り組みが重要だと考えます。
関係人口の良いところは、一人がいろいろな地域と関わることができ、過剰に人材を奪い合うことなく、人材をシェアできる点です。関わる側は居場所や喜びになり、地域側は担い手として期待でき、まさに人口減少時代の地域づくりのあり方ではないかと考えます。
映画「君の名は」の舞台として交流人口が急増した飛騨市では、交流人口を関係人口に変えていくための交流や支えあいを生み出すプログラムを構築し、関係人口の拡大に成功し、ふるさと納税も4億6千万円から4年で18億円まで増加しています。
人口減少社会において、伝統文化、芸能の担い手不足、地域に根付いた産業も後継者不足のため失われつつあり深刻な問題となっています。持続可能な揖斐川町のため、関係人口は町にとっても重要だと思いますが、いかがでしょうか。
関係人口の定義は、特定の地域に継続的に多様な形で関わる者とされており、人口減少や高齢化が急速に進展する中で、移住・定住施策と併せて、関係人口の獲得も重要であると考えています。
継続的な関心や交流を通じて、さまざまな形で地域を支える人々を受け入れることは、地域を支える担い手の確保そのものであると捉える必要があり、関係人口の創出・拡大には、関係人口になるきっかけづくり・土壌づくりと、受け入れ地域における取り組みの両面から進めていく必要があると思います。
昨年夏に春日長者の里キャンプ場で行われたキャンプイベントでは、関東や関西圏から参加者が集まり、薬草やお茶を使った体験メニューを通して、参加者と地域住民が交流することで、揖斐川町の伝統文化や地域で暮らす人々との関わりが生まれ、関係人口の創出につながるきっかけづくりになったのではないかと思っています。
関係人口の創出・拡大には、行政だけでなく、地域や住民の皆さんのご理解、ご協力が必要ですので、今後とも皆さんと一緒にこうした取り組みを進めていきたいと思っています。
揖斐川町揖斐川町議会議会事務局
電話: 0585-22-6881
ファックス: 0585-22-4496
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